睡眠時無呼吸症候群ってご存知ですか
いびきと無呼吸にご注意
新座志木中央総合病院 名誉院長 立野 政雄

睡眠中、本人は全く無意識のうちに一晩、数十回も呼吸が止まってしまう病気が、睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea synarome:sas)です。


 
その無呼吸の状態が起きる原因によって三つのタイプに分類されています
 

閉塞型
このタイプは睡眠中に空気の通り道である上気道がふさがって呼吸ができなくなるものです。

中枢型
このタイプは、もともと呼吸をつかさどる脳の中枢部分のはたらきに異常が起きていることが原因で、睡眠中無呼吸になるものです。

混合型
このタイプは、閉塞型と中枢型の両方が無呼吸の間に混在しているものです。

 


 
SASの患者さんの特徴
 

 いびきをかく人には太った人が多いというイメージがあります。一般にSASは中高年(30〜60才)の肥満の男性にいちばん多くみられます。
 肥満の人は、首やのどの周辺部分にも脂肪がついているため、上気道が狭められて呼吸がしにくくなるのです。
 患者さんに共通してみられるのは、大きなおなか、小さなあご、短い首の三点です。


 
睡眠時無呼吸症候群のチェック
 

● よくいびきをかく
● 朝のめざめが悪い。熟睡感がない。
● 朝起きた時に頭痛がする。
● 日中の眠気がひどい。
● 夜中にトイレに起きる回数が多い。
● 肥満気味、もしくは最近太ってきた。
● 扁桃腺が大きく、のど風邪をひきやすい。
● 睡眠中に呼吸がとまり、呼吸再開時に大きないびきをかくと指摘された。
● 息苦しくて目が覚めることがある。
● 高血圧や高脂血症などの症状がある。

※いびきがあり、他の項目が四つ以上あてはまる人は無呼吸症候群の疑いがあります。


 
睡眠ポリグラフ検査
=ポルソムノグラフィー(PSG)
 

 睡眠ポリグラフ検査(PSG)は「終夜睡眠ポリグラフィー検査」ともいいますが、SASの確定診断に不可欠なものです。
調べるのは、
● 脳波●眼球の動き●心電図●筋肉の動き●血中酸素飽和度●鼻と口の気流●いびきの音量●体位、の各項目です。


 
SASの重症度の判定
 

無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)という方法で、睡眠時の一時間当たりの無呼吸と低呼吸の平均回数を調べます。
無呼吸とは、睡眠中に10秒以上換気が停止すること、低呼吸は換気が50%以下に低下することです。
 このAHIの睡眠時1時間当たりの数値が

軽 度 …
5〜15
中等度 …
16〜30
重 度 …
30以上

のSASと判定されます。
 日本人の場合、AHIの数値が30以上になる重症の患者さんがかなり多くいます。しかし、SASの場合はほかの多くの疾患とは異なり、重症とはいっても、治療によって確実に良くなることが多いので、重症度をあまり気にする必要はありません。
 早期発見、早期治療がポイントです。

 


 
睡眠時無呼吸症候群の治療
 

 睡眠時無呼吸症候群(SAS)のなかでも患者さんの割合が圧倒的に多い閉塞性睡眠時無呼吸症(OSAS)の治療で、もっとも有効性と安全性が確立されていて、第一選択となっているのは「CPAP療法」です。
 CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)とは、直訳すると「持続的陽圧呼吸」で、睡眠時に鼻マスクを装着し、小型の装置から一定圧力をかけた空気を気道に送り、上気道を常に陽圧(4〜20cmH2O)に保つことで気道を広げ、無呼吸の発生を防ぐという治療法で、自宅で継続的に行うことができます。治療開始第一夜から無呼吸から開放され、快適な眠りが得られ、日中の眠気が改善したり、血圧が低下するなどの患者さんも多くいます。又、CPAPの装置は小型なので、旅行や出張に持っていくこともできます。
 CPAP療法はSASと診断された患者さんが月に一度の通院で治療を続ける場合、健康保険の適用となっています。



 
おわりに
 

 睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に一晩数十回も呼吸が止まってしまうため、血中の酸素濃度が以上に低下し、そのため、高脂肪血圧症や狭心症、心筋梗塞、脳梗塞等を発症させる危険性があります。SASの疑いのある方は、睡眠ポリグラフ検査を受けて、診断を確定し、早期発見、早期治療が必要です。
 社会的にも眠気が原因で人身事故につながる交通事故、重大な産業事故等が報道されています。CPAP療法で良い睡眠をとり、QOLの向上に役立つことを期待いたします。


 
参考文献
 

  いびきと眠気にご注意!
  睡眠は無呼吸症候群のすべて
  著者 成井浩司先生


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