| Q |
更年期とはどんな事を言うのでしょう? |
| A |
女性の老化は更年期を境として始まり、この時期の対処により、その女性のその後が、大きく異なると言われています。
すなわち、更年期は、女性がもう妊娠しない時期に入った事を意味します。
この時期には閉経が起こりますが、更年期は閉経で始まるわけではありません。更年期は閉経を挟んだ前後数年間で、それは女性の成熟期から老年期への移行時期とも言えるのです。閉経は、月経が不順となり、それに引き続いて起こる事が多く、ある日突然くるものではなく、月経が不順になると共に卵巣からエストロゲン(卵胞ホルモン)の分泌も低下してくるのですが、これも閉経後すぐに分泌しなくなるわけではなく、閉経後でも1年〜2年、長い人では、3年〜4年も分泌されている場合もあるのです。そして、卵巣からエストロゲンの分泌が完全に止まった時をもって更年期が完了した、と考えるのですが、その時期は個人差が非常に大きいのです。月経不順は、更年期はじめの特徴的症状ではあるけれども、周期の短縮、延長、及び、これら2つの合併した型のもの(主に卵胞期や黄体期の短縮が原因)がみられ、これらの持続期間は2年〜8年前後の事が多く、これに閉経後の数年間が加わると、更年期は閉経の前後を合わせ、8年〜10年前後と考えられるのです。
つまり更年期は、月経不順で始まりを何となく感知し、閉経で終わりに近づいた事が予知されるのです。
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| Q |
では、症状はどうでしょう? |
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| A |
従来、我が国では、「更年期にみられる諸症状」又は、”不定愁訴:自覚症状はあっても、他覚所見がない、又は他覚所見があっても症状と結びつかない症状”と解されていました。
(1)エストロゲン欠乏の急性症状(狭義の更年期障害)
(2)エストロゲンの慢性欠乏に基づく症状(老年期障害)
(3)更年期心身症
と分類する学者もあります。
この分類の特徴は、更年期障害を卵巣機能障害の状態で、明確に分類しようとするもので、各症状の原因解明や、その対策をたてるのにとても合理的な考え方であります。今までのお話しをまとめると図のようになります。

先程から、更年期障害の症状とは、血中のエストロゲンが欠乏した状態に発現する症状と、お話ししましたが、しかしながら、これらの症状のうちどれかが、エストロゲンの欠乏と関係があるのか?
決める必要があるのですが、この点からだけ言えば、血中のエストロゲンを測定する事は無駄なことになります。
すなわち、血中のエストロゲンの低下が必ずしも症状と一致しないからです。
全ての女性は、更年期になれば卵巣機能の低下がありますが、にもかかわらず更年期障害は半数の女性にしか発生しないのです。又、症状と血中エストロゲン濃度値は、必ずしも一致しません。
最近、中年女性の更年期障害と言われている症状に対して、HRT(ホルモン補充療法)が全てに効果があるように一部報道されています。しかし、血管運動神経症状(顔面紅潮、発汗等)に対しては、エストロゲン投与はかなりの率で効果的であるものの、その症状に対しては約半数程度にしか効果を認めないのです。これは、血管運動神経症状以外の障害の半分は更年期障害であるが、他の半分はエストロゲン非依存性の症状であり、他科の疾患を合併しているか、又は、単なる老化現象である可能性があるのです。つまり、更年期障害と言われる症状全てに、HRTで効果を得る事はできず、限界のある事を知るべきだろうと思われます。
又、各症状は、更年期必発ではない事も知っておくべきです。筋肉痛、無気力、頭重感、脱力感、寝汗、冷え症(手足の冷え)、動悸、胸部圧迫感、孤独感、食欲不振、めまい、下腹部痛、腹部膨満感、立ちくらみ、イライラ等は、更年期以前の婦人でもかなり多くみられ、腰背部痛、関節痛、手足のしびれ感、うつ症状等は、老年期にもあり、特に性交痛、不感症、頻尿、便秘、倦怠感、冷感症等は老年期に多く訴えがあります。
従って更年期の婦人が、これらの症状を訴えたとしてもすぐに更年期障害と診断せず、他科疾患との関連を探ることが大切だと考えられます。
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| Q |
では、HRT(ホルモン補充療法/hormone replacement therapy)とはどんな方法でしょう? |
| A |
治療には色々な方法がありますが、最近特に脚光を浴びている更年期障害(一部老年期の障害も含む)の予防法(治療も含む)の一つに”HRT”があります。
これは簡単に言えば、欠乏したエストロゲンを、体外より長期間内服投与する事により補う方法です。
そのやり方には、以下のように色々あります。すなわち、周期的投与法、連続投与法がそれです。これを又、エストロゲンとプロゲスチン(プロゲステロン=黄体ホルモン)を連続投与する同時連続投与法、ある一定期間を、しかも周期的に投与する遂次投与法に分けます。また、エストロゲン投与に休薬期間をおかずプロゲスチンのみ遂次周期的に投与する方法等々がありますが、それぞれに一長一短があり、患者さんの状態や希望により、適当なものを選び施行します。(プロゲスチンを併用するのは、子宮内膜癌の予防の為に投与するのです)エストロゲンとプロゲスチンの同時連続投与法は、子宮内膜の萎縮を期待して行いますが、周期的投与方法では、閉経前の婦人の性周期をまねしようとする方法で、従ってプロゲスチンを服用後には、生理様の出血(消腿出血)を見ることが多くなります。
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| Q |
HRTの副効果並びに副作用はありますか? |
| A |
副効果としては、骨量の増加、血中コレステロールの減少、HDLコレステロールの増加が見られ、その他に心機能に対する保護作用、性交障害の改善、泌尿器疾患の改善、記銘力の維持が言われております。副作用として最も頻度が高いのが不正性器出血と乳房痛です。これらに対して医師から説明をしっかり聞く事が大切です。
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| Q |
HRTはいつ頃から始め、いつまで続ければ良いのでしょう? |
| A |
閉経後できるだけ早く開始し、できるだけ長期間(5年くらいが目安)続けることが良いと言われ、中止すれば骨量は速やかに減少します。
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| Q |
この疾患に対する注意を話してください。 |
| A |
(1)更年期障害とは、この時期に発症したエストロゲン欠乏によって起る症状のみを”更年期障害の症状”と呼ぶべきなのです。先程もお話ししましたが、更年期障害と呼ばれている症状の中には、他科の疾患も多く含まれている事があり、治療にはこれらとの識別が一番重要です。
(2)エストロゲンの欠乏が長期間にわたると、動脈硬化症、高血圧症、心筋梗塞、脳梗塞、骨粗鬆症等々の重症な疾患の原因になると言われています。それらを防止するには、更年期障害のうちから早期予防、治療を心がけることが大切です。
(3)HRTは、閉経後なるべく早く開始した方が、より効果が大きいと考えられています。
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